憲法9条1項の解釈(憲法改正の基礎知識①)
憲法9条1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定している。
野村修也
2026.05.14
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自由民主党が2018年3月に公表した「条文イメージ(たたき台素案)」によれば、憲法9条1項は改正の対象とせず、そのまま維持するとされている。それは、どのような意味なのだろうか。そこで、以下では、まず憲法9条1項の解釈について整理する。
(1)「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」の違い
「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」はいずれも、兵力を用いた軍事行動(実質的意味における戦争)であることに変わりはない。両者の違いは、その形式にある。すなわち、「国権の発動たる戦争」は、宣戦布告又は最後通牒の手続により明示的に戦争の意思を表示するか、武力行使を伴う国交断絶の形式によって黙示的に戦争の意思を表示するといった形式をとるのに対し、「武力による威嚇又は武力の行使」は、かかる形式を伴わない軍事行動を意味する。その結果、前者には戦時国際法が適用されるが、後者にはそれが適用されないといった違いが生ずる。